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【1月17日時点】タール火山の噴火による首都マニラの様子(現地在住者目線)
こんにちは。
たくせき(@tac_uitl)です。
2020年1月12日(日)午後に、フィリピンの首都マニラ(マニラ首都圏/メトロマニラ)近郊にあるタール火山が噴火しました。
日本でも多くのメディアが取り上げ、日本に居る方でも「マニラの近くで大規模な火山噴火があり、マニラにも火山灰が降った」という情報を聞いた人は多いのではないでしょうか?
僕の元にも、ありがたいことに心配する友人から安否の連絡が来たり、マニラに旅行中の方やこれから旅行される方から質問のご連絡をいただいたりしました。
(ちなみに、僕は年末から1月15日まで日本に滞在していたため、噴火当時は日本に居ました。)
今は安否確認の連絡は落ち着き、これから旅行を検討されている方からご質問いただくことが多くなっています。
ご質問をいただくことが多くなっていることも受け、タール火山の噴火から5日が経った現在、マニラ都市部の様子がどのようなものか気になる方も多いと思いますので、簡単ですが、記事にまとめました。
日本の報道だけではわからない方も多いと思いますので、今後旅行や出張などを予定されている方にとって役に立てば幸いです。
そして、1日も早いタール火山周辺の地域の復興を願っています。
サクッと読める目次
状況のまとめ
情報を早く取りたい方もいると思うので、先にまとめを書いておきます。
日本人が多く生活・旅行をするマカティ市やBGC、MOA(モール・オブ・アジア)周辺(コンラッドホテル、MOAアリーナ、オカダマニラなど)では、現在目立った混乱はありません。
噴火直後の12日午後にはこのエリアにも火山灰が降りましたが、現在は降っていません。
現地メディアによると、気象庁天文台が13日午後12時に首都マニラの大気の質は通常の範囲に戻ったと発表しています。
一方で、噴火警戒レベルは以前「4」を保っており、数時間から数日以内に大規模な噴火の可能性があるとしています。
また、火山灰による健康被害についても一概には言えず、在マニラ日本大使館からも「降灰状況や健康状況に応じ,火山灰が,健康に与える影響(特にぜんそくや気管支炎,肺気腫又は深刻な心臓疾患)も考慮し,ゴーグル,マスクを着用する。」ことなどが発信されています。
現在、日本人が多く訪れるエリアでは目立った混乱や目に見える火山灰の影響などはありませんが、目に見えない部分での健康被害があるのかないのか、あるとしたら、どれくらいなものかはまだわかりません。
また、現在落ち着いていますが、噴火警戒レベルは4で、12日のような大規模な噴火の可能性も否定できず、様子を静観する必要があります。
現状、僕がマカティ市で生活する分には、普段と変わらない生活はできています。
タール火山の噴火
噴火の概要
フィリピンの首都マニラ(マニラ首都圏/メトロマニラ)から約60キロ前後南にあるタール火山(バタンガス州)が1月12日午後に噴火しました。
噴煙の高さは1万5000mに達して、首都マニラにも火山灰が降りました。
マニラにあるNAIA空港(ニノイ・アキノ空港)では、フライトの欠航や遅延などが相次ぎ、一時閉鎖状態となりました。
2020年1月13日付けにて、ANN NEWSのニュースが動画として上がっているので、そちらをご覧ください。
現地の様子
ここが大事なポイントなのですが、日本の報道では、タール火山周辺と日本人の多くが生活・旅行するエリアの状況が混同して捉えられる内容もあり、切り分けて考えることが必要です。
日本人が多く住む首都マニラの都市マカティ
まず先に、首都マニラ(マカティ市)の様子についてお伝えします。
エリアに関する前提
日本の報道でもあるとおり、今回火山の噴火があったタール火山周辺と首都マニラ(マニラ首都圏/メトロマニラ)は60〜70キロ程離れています。
また、首都マニラは、日本でいう「東京都」と同じ括りとなり、面積は東京23区とほぼ同じとなります。
そのため、「首都マニラ」として一様に語ることはできず、タール火山方面の南側の都市と北側の都市では火山灰による状況などが異なります。
なかがわさんが位置関係や距離感をわかりやすくまとめてくださっていたので、ぜひご参考に^^
現在の危険エリアも追記しました。こうして見ると、かなり広い範囲です…。 pic.twitter.com/2TB0jKZdRp
— なかがわ@🇵🇭フィリピン (@NakagawaR) January 15, 2020
この前提のもと、首都マニラの中でも、特に日本人が多く生活・旅行する都市「マカティ」周辺の様子についてお伝えしたいと思います。
NAIA空港(ニノイ・アキノ空港)の様子
通称マニラ空港(ニノイ・アキノ空港)は、マカティ市の隣のパサイ市にあります。
渋滞がなければ車で20分程の距離にあります。
僕が日本からマニラへ渡航して空港を利用したのは、1月15日でターミナル1でしたが、空港内での混乱はなく、また空港からマカティ市に移動する際もいつもと同じで特段異なる点はありませんでした。
いつもよりも空港内が空いていたので、報道を見た方々の渡航自粛などの影響かと感じました。
マカティ市の様子
マカティ市自体も広く、都市内も一様に語ることは当然できないのですが、観光スポットとなっている商業施設「グリーンベルト(Greenbelt)」近辺では、いつもと変わらない様子が見られました。
渡航前は、マスクを付けている人が多いのかと思っていましたが、ほとんどの人はマスクをせずに普通に歩いていました。(お店でもマスクが販売されていたので、品切れということではなさそうです。)
※このエリアが品切れではないというだけで、他のエリアでは品切れのところもあります。
また、火山噴火のニュース直後に、マカティ市でも水の売り切れなどの話を友人から聞いていましたが、今は普通にコンビニで販売されており、ショッピングモールなども通常どおり営業しています。
ただし、生活水準やエリアなどによっても受けている影響は異なり、また健康被害などの目に見えない部分で影響が出ている可能性もあるので、「全て元どおり」「いつも通りで安心」ということでは当然ありません。
現地メディアの報道によると、1月13日午後12時時点で首都マニラの大気の質は通常の数値の範囲に戻ったという報告がありました。
一方で、現在も在マニラ日本大使館からのメールなどでは、下記のような状況が示されています。
2020年1月16日付け在マニラ日本大使館からのメール(抜粋)
※全文は記事末尾に記載しています。
3 フィリピン保健省(DOH)は,地域などの指定はありませんが,火山灰や火山ガスにより,咳,気管支炎のような呼吸器症状,眼の違和感等が発生するおそれがあるため,外出は最小限にするよう呼びかけています。特に,慢性気管支炎が肺気腫,ぜんそくなどの呼吸器系の疾患がある人は,外出を避けるべきとしています。
【注意事項】
(6)降灰状況や健康状況に応じ,火山灰が,健康に与える影響(特にぜんそくや気管支炎,肺気腫又は深刻な心臓疾患)も考慮し,ゴーグル,マスクを着用する。
同じく日本人が多く生活・旅行するエリア「BGC」や旅行者の多いMOA付近(コンラッドホテル、MOAアリーナ、オカダマニラなど)でも現在目立った混乱は聞いておらず、マカティ市と似た状況と聞いています。(まだ自分自身が行けておらず、友人からの情報です。)
タール火山周辺の様子
1月16日現在のタール火山周辺(バタンガス州、カビテ州)の様子です。
16日朝に2度の噴煙
Taal Volcano Ash Eruption
16 January 2020
06:17 AM & 06:21 AM#TaalVolcano #TaalEruption2020 pic.twitter.com/5SH8KdvDae— PHIVOLCS-DOST (@phivolcs_dost) January 16, 2020
現地メディアでは、16日朝6時17分に高さ500m、6時21分に高さ800mの噴煙が上がったと報道されました。
噴火警戒レベルは引き続き4で、数時間から数日のうちに危険な爆発的噴火が起こる可能性があるとしています。
(出典:https://www.rappler.com/nation/249455-phivolcs-advisory-taal-volcano-status-january-16-2020))
また、タール火山周辺のバタンガス州の11の町が継続的な警戒の必要から完全封鎖されたと17日朝に発表されています。
農業や漁業、観光などに大きな影響
火山噴火による火山灰の影響で農業や漁業、観光などに大きなダメージを与えていると現地メディアは報道しています。
また、タール湖周辺の観光名物として乗馬があり、その馬達の救出作業も現在報道されています。
在マニラ日本大使館からのメール
登録状況により情報を取得できていない方もいるかと思いますので、転載させていただきます。
火山の情報に限らず、信頼できる有益な情報が取れるので、ぜひ登録することをおすすめします。
フィリピンにお住まいの皆様及び旅行者の皆様へ
在フィリピン日本国大使館
1 フィリピン地震火山研究所(PHIVOLCS)は,16日午前6時20分前後に,タール火山が火口から2回,火山灰を南西から西に向け噴出したとの発表がありました。また,15日の午後5時から16日の午前5時まで,103回の激しい火山性地震も確認されたことから,タール噴火口の継続的なマグマの貫入している可能性が高く,さらなる火山活動につながる可能性があると発表しました。噴火警戒レベル4(危険な爆発的噴火が差し迫った状態)が維持されています。
2 また,フィリピン内務地方自治(DILG)省は,16日,火口から半径14km以内の火砕流及び火山津波の危険性が高い地域(※)からの強制退避を改めて命じました。
※対象地域
バタンガス州のアゴンシーリョ,アリタグラグ,バレテ,クエンカ,ローレル,レメリー,リパ市,マルバー,マタアス・ナ・カホイ,サン・ニコラス,サンタ・テレシタ,タール,タリサイ,タナウアン市:カビテ州のタガイタイ市等。
3 フィリピン保健省(DOH)は,地域などの指定はありませんが,火山灰や火山ガスにより,咳,気管支炎のような呼吸器症状,眼の違和感等が発生するおそれがあるため,外出は最小限にするよう呼びかけています。特に,慢性気管支炎が肺気腫,ぜんそくなどの呼吸器系の疾患がある人は,外出を避けるべきとしています。
4 つきましては,タール山の状況について引き続き最新の情報に注意してください。現地当局からの指示に従い,タール山周辺には近寄らないようにして,強制退去地域からは速やかに避難してください。
なお,万一被害に遭った場合には,在フィリピン日本国大使館(下記連絡先)までご連 絡ください。
【注意事項】
(1)退避命令対象地域及びその周辺には絶対近づかない。
(2)報道及び関係機関から情報収集を行う。
(3)停電や退避の事態に備え,災害対策品(懐中電灯,ライター,ろうそく,携帯ラジオ,予備の電池,ゴーグル,マスク,旅券,現金,雨具,水,食糧等)を確保・準備する。
(4)家族等で緊急連絡方法や避難場所・退避コースの確認を行う。
(5)当局から避難勧告や指示があった場合には,当局の指示に従い速やかに行動する(状況に応じ自動車の運転は控えるなど)。
(6)降灰状況や健康状況に応じ,火山灰が,健康に与える影響(特にぜんそくや気管支炎,肺気腫又は深刻な心臓疾患)も考慮し,ゴーグル,マスクを着用する。
(7)家屋内の火山灰の流入を減らすため,可能な限り,全てのドアと窓を閉める。
(8)火山灰は,雨を含むと相当の重さとなり,屋根がその重さに耐えられず,屋根又は家屋が崩壊するおそれがあることに注意する。
(9)被災地では,物資供給不足,各交通機関や電話等の通信網も混乱していることが予想されるため,被災地等へ戻るころの可否は,十分な情報収集を行いながら検討する。
<タール火山についての参考情報HP>
●フィリピン火山地震研究所
http://www.phivolcs.dost.gov.ph/
●フィリピン国家災害リスク削減管理委員会
http://ndrrmc.gov.ph/
●フィリピン内務地方自治省
https://dilg.gov.ph/
(問い合わせ窓口)
○在フィリピン日本国大使館
住所:2627 Roxas Boulevard, Pasay City, Metro Manila, 1300, Philippines
電話:(市外局番02)8551-5710
(邦人援護ホットライン)
(市外局番02)8551-5786
FAX : (63-2) 8551-5780
ホームページ: https://www.ph.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html
まだまだ予断を許さない状況ですが、大使館などの信頼できる情報をしっかりと取って行動することをおすすめします。
フィリピン在住クリエイター/ブロガー
たくせき(TAKUSEKI)